導入事例

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社会福祉法人あすか会様

障害福祉事業者 障害者支援施設、生活介護事業所、就労継続支援B型事業所 、地域活動支援センター、相談支援事業所、グループホーム
2025.07.08

〜すべての人が安心して暮せる社会を作りたい〜

導入サービス:当事者家族「親なきあと」支援プログラム

社会福祉法人あすか会様

社会福祉法人あすか会 理事長 岡本 功様(以下:岡本さま)

インタビュー内容

今までに施設利用者のご家族様や従業員様より「親なきあと」について、ご相談を受けたことはありましたか?

岡本さま当法人は、15組の保護者が「親なきあと」の我が子の暮らしを案じて設立されました。「親なきあと」が法人の存在意義みたいなところがあります。保護者が設立した法人なので、家庭的で、温かい支援というのをずっと求められてきました。「親なきあと」も、ずっと親が我が子を見守るように支援して欲しいという願いなんです。このような法人なので、保護者も支援者も、常に「親なきあと」は意識してきましたし、「親なきあと」についての相談は、日常茶飯事と言うか、当たり前に話題に出る法人なんです。

「親なきあと」についてのご相談を受ける際に、どのようなことを感じていましたか?

岡本さま私がずっと感じているのは、「親なきあと」問題は、「親あるうち問題」だということなんです。入所施設であったり、グループホームであったり、親なきあとの暮らす場所さえあれば、あとは年金だけで何とかなります。現に、当法人では、「親なきあと」に路頭に迷う人はいませんし、相談支援事業所で担当させてもらっている在宅の障がい者も、親なきあと、なんとか落ち着いて暮らしてもらえています。それでも、親の不安って消えないんです。「ご両親とも亡くなった、あの人もあんなに楽しそうに暮らしているでしょ」と説明しても不安は消えない。親が子に対して思う心配って、尽きないもので、それは、いくら良い支援をしても、いくら寄り添っても、心のうちに自然と立ち上がってくるもんなんだな、と感じています。

なぜ、今回「親なきあと」支援プログラムを導入しようと思われましたか?

岡本さま私たち支援者ができることって、目の前の利用者に寄り添い、温かい支援をすることだけなんです。保護者の不安や愚痴を聞いて、一瞬ほっとしてもらえることはあります。ただ、ほんとにそれは一瞬だけで、やっぱり親御さんの心配、悩み、不安は、人それぞれで、簡単に解決はできないもんです。そんな心配事の中で、「自分が亡くなった後、我が子の保護者は誰になるんだ」というのがあります。お子さんが一人っ子の場合、「頼む人がいない」、ごきょうだいがあっても、「きょうだいにはきょうだいの人生がある」、と他人が考えているより、お悩みが深いんです。障がい福祉って、当事者支援っていうのは熱心に言われるんですけど、ご家族の支援って後回しなんです。保護者が設立した、うちの法人でさえ、やっぱり利用者の事が第一です。保護者の中には、私が退職した後のことを心配する方もおられて、心配ごと、悩みごとはエンドレスなんです。親なきあとの悩みを継続的に、私がいなくても、支援者が変わっても、引き続き相談をしてもらえる場所がいるな、と思っていたんです。そんな時に「親なきあと」支援プログラムを知って、これは、絶対に、当事者でもあり、専門家の方々に託した方がいいと思ったんです。当時者支援は引き継いでいけるけれど、ご家族の支援って継続性が保たれないんですよね。なので、「あしたパートナーズ」ってめっちゃいいな、と思ったんです。

「親なきあと」支援プログラムを施設利用者のご家族様や従業員様にどのように利用してほしいですか?

岡本さまよそ行きの顔でじゃなくて、ありのままの悩みを打ち明けて欲しいと思っています。「親なきあと」支援プログラムは、自分たちが助けてもらえる場所じゃなくて、活用する場所になっていって欲しいんです。積極的に、悩みごと、困りごとを発信し、当事者家族同士で共有し、今、必要な本当に必要な支援を提言していくとか、福祉サービスを創り出すとか、「親なきあと」支援プログラムをどんどんバージョンアップしていって欲しいです。だって、スタッフの皆さんも当事者なわけですよね。ここに立ち止まっているのではなくて、運動体として利用者のご家族もスタッフの皆さんも一緒になって、大きなうねりを作って欲しいです。

「親なきあと問題」についての勉強会を実施してみて、いかがでしたか?

岡本さま「親なきあと問題」って気にはなっているけれど、日々のことで後回しにされているやないですか。不安や心配は山ほどあるのだけれど、漠然としていたりもします。研修会をすることで、「あ、そういう準備もいるのか」「親なきあとの保護者も考えないと」と一つ一つ、課題が見えてきます。自分が悩んでいるのは「親なきあと」の「我が子の暮らしの場」なのか、「我が子に残すお金なのか」そしてそれらを「誰に託すのか」、研修会を受けることで、整理できたと思います。でも、それも、日々の暮らしの中で薄れていくでしょ。なので、定期的に、こういう研修は受けた方がいいと思います。あと、私は「親なきあと」問題は「親あるうち問題」だと思います。「きょうだい支援」というか、きょうだいにも悩みがある、そういうことを研修で言語化していってもらえたら嬉しいです。あすか会のミッションは、誰もが安心して暮せる社会づくりです。「あしたパートナーズ」と手を組むことで、また一つ安心の材料が増えたと感じています。

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2025年6月開催の勉強会風景