北海道在住、きょうだい児をきっかけに親御さんが準備を始めたケース
娘が14歳のとき、親の会の勉強会で講師から「31歳までに家から出さないといけないですよ」と言われました。その時はまだ娘は中学生だったので、進学について調べることで精一杯で、特に具体的な相談や動きは始めませんでした。
なぜ31歳までだったのか今では覚えていませんが、それ以来、漠然と「いつかは対策をしないといけない」と感じて過ごしてきました。
今から数年前に、息子から「絶対に会っておいた方がいい人がいる」と言われて、パートナーの方に初めてお会いしました。普段、そのようなことを言わない息子なので、少し驚きもありました。初めてお会いした際に、パートナーの方も当事者家族ということもあり、親なきあと問題についていろいろな話をしました。私たち親が亡くなった後の長女の生活について、いろいろな情報をいただけてありがたかったことを今でも覚えています。この人に相談してみたいと思いました。
いつ私たち(親)に万が一のことがあるかわからないので、グループホームに早い段階で入所させたいという考えはあったのですが、あっという間に時間が流れていって、施設見学に行くタイミングを見失っていました。その際に、担当の方から「グループホームの施設見学には早く行ったほうがいい」と背中を押していただいたのを覚えています。実際にグループホームに見学に行ってみると、良いと思う施設は全然空きがないことを知りました。まだ、現在も探しているところではありますが、早い段階で、教えていただいたことを感謝しています。
成年後見制度についても興味があったので、色々と質問をしました。親の会の勉強会で、成年後見制度において親族を後見人にする場合が一番、トラブルが起こりやすいということを仰っていたことを覚えていましたが、元々、私自身もきょうだい(長男)に任せたらいいのかな、とは思っていましたので、その辺についてもお話を聞かせていただきました。また、娘に対して、どのように財産をのこすかということについて、全く情報を持っていなかったので、そこについてもいろいろとお話をしていただけました。生命保険の見直しと生命保険信託の設定についても行いましたし、自宅を購入したあとに、夫婦で公正証書遺言書も書くことにしました。公正証書遺言を作成するにあたり、担当者の方から信頼できる士業の先生を紹介頂いたのでスムーズに話を進められました。
準備を始める前は、漠然と「いつかは対策をしないといけない」と感じながらも、なかなか具体的に手続きをするきっかけがありませんでした。
準備を始めた後は、右も左もわからなかったのでまず紹介していただいた先生が来てくださって、その方もとても丁寧に説明されたので安心してお話できました。公証役場で公正証書遺言を作成した帰り道に、夫婦で「これでいつ亡くなっても大丈夫だね」と話したことを覚えています。
また、生命保険信託については、私たちの死後の娘の生活に密着している感じで、とても安心しています。このような仕組みがあることは全く知りませんでしたので、知ることができて良かったです。
娘のグループホームも探し始めましたが、いざ見学に行ってみると、いろいろな条件があって、なかなか合う物件が見つからないでいます。グループホームはいくらでも見学させてもらえますので、親が元気なうちにたくさん見て回ったほうが良いと感じています。
よく「福祉のチカラでなんとかなる」と言われるのですが、娘の細かいこと(好きなこと、嫌いなこと)はわからないと思っていますので、娘のノートを少しずつ作っています。これも親が元気なうちにできることだと思います。
私自身はあまり大変だと感じませんでしたが、夫は仕事などで滅多に家にいない人なので、担当者の方との面談の時間をつくるのが大変だったのではないかと思います。面談回数は全て合わせると10回以上を超えると思いますが、二人だけだとなかなかこういった話をする機会がつくれなかったと思うので、第三者の方に入ってもらうことの大切さを感じていました。
私は元看護師なのですが、患者様でこのようなご家庭がありました。患者様は48歳男性で知的障害がある方、そのお母様は80歳でいつも付き添いで病院に来られていました。どんどん先に歩いていく患者様の後ろを、お母様が杖をついて追いかけていたのを覚えています。しかしある時お母様が付き添いにお見えにならない。代わりにお父様が付き添いに来られていました。その時に思ったのです。親はどんな老い方をするかわからない。いつまでも元気に子供を看てあげられないかもしれない。親に何かあると、子の生活は急変してしまいます。なので、なるべく早く自立してもらい、親がいなくても生活できる環境を整えることだと・・・。
私は息子からの紹介で担当者の方にお会いできましたが、多くの親御さんにも知って頂きたいと願います。